筋力を決める要因はいくつかあります。
一つ目は、筋断面積です。
最大筋力はその筋の断面積にほぼ比例します。なので、筋量の多い人は少ない人より大きな力を出すことができると言えます。しかし、それは体積の問題ではなく、断面積で決まります。筋の断面積には2つあり、一つは生理学的断面積で、その筋に含まれる全筋線維の断面積の総和で表されます。もう一つは解剖学的断面積で、筋の長軸方向(腱と腱を結ぶ方向)に垂直な断面積で表されます。筋には筋線維が長軸方向と同じではなく、一定の角度を持って走行しているものがあります。これを羽状筋といいます。ですので、筋力に影響する筋断面積は生理学的断面積でみる必要があります。
二つ目は、神経系の作用です。
筋は神経の支配によって活動するため、筋力発揮には神経系の働きが重要です。
神経系には大きく分けて2つの要因があり、一つは筋収縮に参加する運動単位(一つの神経とその神経が支配する筋線維)の数です。参加する運動単位の数が多いほど、収縮する筋線維数が多くなるので、大きな筋力を発揮することが可能になります。もう一つは運動単位へのインパルス(活動電位)の発射頻度です。筋収縮は、神経の興奮(活動電位)が神経末端まで達し、筋線維に伝えられることで起こります。そのインパルスの送られる頻度が多くなるほど、活動に関わる運動単位が多くなります。
三つめは、筋線維組成です。
筋には人それぞれで、筋線維タイプの割合があります。
速筋線維は、大きな収縮力を発揮し、収縮速度も速いですが、疲れやすいという特徴があり、遅筋線維には、収縮力は小さく、収縮速度も遅いですが、疲れにくいという特徴がありました。ですので、速筋線維の割合が多い程、大きな筋力を発揮することが可能になります。
筋力は主に上記の3つの要因で決まります。
この中で、筋断面積および神経系の作用はトレーニングによって変化させることが可能です。逆をいえば、トレーニングは、この二つを改善することが一つの目的だとも言えますね。
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