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脂質で太るメカニズム

現代では、脂質をたっぷりと使用した食品をすぐに手にすることができます。

飢餓をしのぐために進化した身体には、現代の食料事情との不釣り合いが生じています。


サラダ油やキャノーラ油などの常温で液体のものを「油」、牛脂や豚脂などの常温で固体のものを「脂」と分けます。


私たちが摂取している脂質の大部分は「トリグリセリド」で小腸で消化吸収されます。

トリグリセリドはそのままでは血液に溶けないため、コレステロールなどを加えて「リポタンパク質(脂質とタンパク質の複合体)」を形成し、血液中に放出されます。リポタンパク質は血液中で脂質を小さな粒状にして輸送するカプセルのようなものです。

血液中に放出されたリポタンパク質は、トリグリセリドから脂肪酸を皮下脂肪や内臓脂肪に放出します。脂肪組織は放出された脂肪酸を取り込み、トリグリセリドを再合成することで脂肪組織が肥大します。

リポタンパク質が脂肪組織に脂肪酸を運び終えると、コレステロールを多く含むLDL(悪玉コレステロール)になり、脂質異常症や動脈硬化の要因になります。


脳のエネルギー源であるグルコースは「甘味」、筋肉を作るタンパク質は「旨味」、細胞の機能を維持するための適量なナトリウムは「塩味」と感じます。

脂質は「無味」「無臭」で、どの味覚にも感知されません。しかし、ヒトは脂質を「美味しい」と感じます。何故でしょうか?

トリグリセリドは舌リパーゼという酵素の働きによって、一部の脂肪酸が分離され、舌にある味蕾細胞の上にあるCD36という脂肪酸の輸送体によって細胞の中に運ばれる。脂肪酸が細胞の中に入ると神経細胞が刺激され、脳内にβエンドルフィン(快感を感じさせる伝達物質)が分泌される。この快感が脂質の美味しさの正体です。

脂質が多く含まれている嗜好性の高い食品を習慣的に摂取すると、報酬系に耐性が生じ「もっと食べたい」という依存性(脂質中毒)が起こります。

脂質の習慣的な摂取は脂質の嗜好性を高め、肥満を促進させる要因となります。


脂質は三大栄養素であり、身体にとって重要な栄養素ですが、ケーキやポテトチップスなどの脂質過多な食品を摂取すると、含まれている脂質はリポタンパク質というカプセルに乗って、ダイレクトに皮下脂肪や内臓脂肪に届けられ、脂肪細胞を肥大させます。


糖質と同じように、脂質も摂らないのではなく、どのように摂るのかが大切になります。

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