糖質は、脳や筋肉のエネルギーだけでなく、脂肪として蓄えられる栄養素です。
砂糖は、胃や腸で消化されるとグルコースやフルクトースといった単糖類まで分解され、腸で吸収されます。吸収されたグルコースは血流にのって肝臓に運ばれ、その一部はグリコーゲンに合成されて肝臓に貯蔵されますが、貯蔵されなかった残りのグルコースは血液中に放出されます。グルコースが血液中にどんどん放出されると、血液中のグルコース濃度(血糖値)が高くなります。
身体の細胞は血液中のグルコースからエネルギーを得ているため、エネルギー不足にならないように血糖値はいつも一定の範囲(70~110㎎/㎗)に保たれていますが、高すぎる血糖値は血管を傷めてしまいます(動脈硬化が進む)。そのため血糖値が高くなると、血糖値を下げるようにインスリンが働きます。
多くのグルコースを摂取して血糖値が上昇すると、膵臓からインスリンが分泌され、全身の組織にグルコースを取り込むように作用します。そのなかでも多くのグルコースが肝臓や筋肉、脂肪細胞に取り込まれます。
インスリンによって肝臓に取り込まれたグルコースは、グリコーゲンに合成され、その他は脂肪に合成されて肝臓内に蓄積されるか、血液中に放出されます。
筋肉にグルコースが取り込まれると、筋グリコーゲンに合成され貯蔵されます。
しかし、急速に多量のグルコースを摂取すると、肝臓や筋肉でも処理できなくなり、インスリンは脂肪組織にグルコースを取り込ませます。脂肪組織に取り込まれたグルコースはトリグリセリド(中性脂肪)に合成され、貯蔵されま
す。これにより脂肪細胞が肥大するのです。
習慣的に多量のグルコースを摂取していると、インスリンによるグルコースの取り込み能力が低下(インスリン抵抗性)し、インスリン抵抗性が生じると高血糖になるため、膵臓のβ細胞はさらに多くのインスリンを分泌します。(高インスリン血症)
インスリン抵抗性がグルコースの取り込み能力の高い筋肉に生じると、多くのグルコースは脂肪組織に取り込まれるようになり、脂肪組織が肥大するというメカニズムです。
これが糖質を摂ると太ると考えられる原因となります。しかし、糖質は筋肉や脳に不可欠なエネルギー源ですので、大切なことは糖質を摂らないようにするのではなく、どのように糖質を摂るかになります。
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