熱中症の5月から9月の救急搬送者数の推移は令和元年 71,317名、令和2年 64,869名、令和3年 47,877名、令和4年 71,029名、令和5年 91,467名とその年の気温・湿度の状況もありますが右肩上りに増加しています。
令和6年も早くも40度近い外気温になり、熱中症での救急搬送者数も増加しています。
これだけニュースなどでも取り上げられているにも関わらず熱中症を発症する人が多いのは何故でしょうか?
熱中症が年々増加傾向にある原因は複合的で、主に以下の要因が挙げられます。
1. 気候変動と地球温暖化
地球温暖化により、夏の気温が年々高くなっています。特に都市部では、ヒートアイランド現象によって夜間も気温が下がりにくく、連続して高温が続くことが増えています。これにより、身体が十分に回復する時間が減り、熱中症のリスクが高まります。
2. 高齢化社会
日本は急速に高齢化が進んでおり、高齢者は体温調節機能が低下しているため、熱中症になりやすいです。また、高齢者は暑さを感じにくく、適切な水分補給や涼しい環境を確保するのが難しい場合があります。
3. 都市化
都市化が進むにつれ、コンクリートやアスファルトで覆われた地域が増え、地面からの熱放射が増加します。これにより、都市部の気温が周辺地域よりも高くなるヒートアイランド現象が起きやすくなります。
4. 運動や屋外活動の増加
夏場に運動や屋外活動を行う人が増えています。特にスポーツイベントやフェスティバルなどの大規模イベントが多く開催されるため、暑さに長時間さらされる機会が増加しています。
5. 環境適応力の低下
エアコンの普及により、涼しい環境に慣れてしまうことで、体が暑さに対する耐性を失いがちです。これにより、急に外出した際の暑さに対応できず、熱中症になるリスクが高まります。
6. 予防知識の不足
熱中症に関する予防知識が十分に広まっていないことも原因の一つです。特に高齢者や子どもなど、熱中症になりやすい層に対しての啓発が不足している場合があります。
これらの要因が相まって、熱中症が年々増加傾向にあります。対策としては、気温の高い時間帯の外出を控える、水分をこまめに摂取する、適切な冷房を使用するなどが有効です。
以上のような原因が考えられます。
熱中症を予防する対策も大切ですが、熱中症になりにくい体作りも重要です。
身体の機能が低い状態では、外部環境からの物理的ストレス(暑さ、寒さ、湿度など)に対応できにくくなります。また、暑熱馴化(暑さになれること)も必要です。普段、冷房の効いた環境で生活していると暑さに対しての耐性がなく、急に暑い場所に出ると熱中症のリスクが高まります。
熱中症の症状は、軽度から重度まで様々であり、以下のように分類されます。
軽度の症状
(熱失神)
1.めまいや失神(一過性の意識消失)などの症状がみられます。
足を高くして寝かせると通常はすぐに回復します。
(熱痙攣)
筋肉の痙攣:特に脚や腕、腹部の筋肉がけいれんを起こします。
大量の発汗:体が過剰に汗をかきます。
疲労感:極度の疲労を感じます。
口の渇き:喉が渇く感じがあります。
中等度の症状(熱疲労)
めまい:立ちくらみやふらつきを感じます。
吐き気・嘔吐:気分が悪くなり、場合によっては嘔吐します。
頭痛:頭痛が起こります。
冷や汗:皮膚が冷たく、湿っています。
集中力の低下:注意力が散漫になり、集中できなくなります。
筋肉痛:全身の筋肉に痛みを感じます。
重度の症状(熱射病)
高体温:体温が40度以上に上昇します。
意識障害:意識が朦朧とし、最悪の場合は意識を失います。
けいれん発作:全身のけいれんが発生します。
呼吸困難:呼吸が速く浅くなります。
脈の異常:脈が速く弱くなります。
皮膚の異常:皮膚が赤く、熱くなりますが、汗をかかない場合もあります。
緊急事態のサイン
熱射病などの重度の熱中症は緊急事態であり、迅速な医療介入が必要です。以下の症状が現れた場合、すぐに救急車を呼び、応急処置を行う必要があります。
意識の喪失
重度のけいれん発作
体温が40度以上に上昇
呼吸や脈拍の異常
応急処置
涼しい場所へ移動:日陰やエアコンの効いた場所に移動します。
体を冷やす:冷たい水をかけたり、氷で冷やしたタオルを体に当てたりします。
水分補給:冷たい水やスポーツドリンクをゆっくりと飲みます。ただし、意識がない場合は無理に飲ませないようにします。
緊急連絡:重度の症状が現れた場合は、すぐに119番に連絡します。
身体冷却法としては氷水に全身を浸して冷却する方法「氷水浴/冷水浴法」が最も効果的とされています。学校や一般のスポーツ現場では、水道からホースで全身に水をかけ続ける「水道水散布法」が、次に推奨されます。
それも困難な場合や学校現場などでは、エアコンの利いた部屋で、氷水で濡らしたタオルをたくさん用意し、全身にのせて、こまめに取り換えるようにしましょう。
また、氷やアイスパックなどを頚、腋の下、脚の付け根など太い血管に当てることも有効です。熱射病が疑われる場合には身体冷却を躊躇すべきではなく、その場合には「寒い」というまで冷却します。運動時の熱射病の救命は、いかに速く(約30分以内に)体温を40°C以下に下げることができるかにかかります。
現場で可能な方法を組み合わせて冷却を開始し、救急隊の到着を待ってください。
今回は熱中症の予防と対策についてまとめてみました。
私たちの身近なところで熱中症は発生しています。自分自身や家族、自宅やスポーツ現場でいつ起こってもおかないくない状況ですので、是非、早急に対応できるようにしておいていただければと思います。
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